気管切開チューブ先端に形成された難治性気管内肉芽の1例

大阪大学小児外科
奈良啓悟、臼井規朗、神山雅史、米田光宏、鎌田振吉

(症例)気管切開チューブ先端に形成された気管内肉芽の治療に難渋している症例を報告し、皆様の御助言をいただきたい。患者は2歳の男児。先天性気管狭窄症の診断にて、生後3ヶ月に肋軟骨グラフトによる気管形成術を施行したが、術後、左主気管支軟化症のため抜管できず、生後6ヶ月時に気管切開を行った。気管切開後2ヶ月目に脱水によるショックから心停止を来たし、低酸素性脳症による痙性四肢麻痺の状態となった。自発呼吸下で気切のまま自宅での管理をめざしているが、分岐部直上の気切チューブ先端に慢性刺激による肉芽が形成され、2〜3週毎にレーザー焼灼を繰り返している。難治の原因として、1)左主気管支軟化症のため、時に呼吸困難が増悪する、2)分岐部直上の気管軟化症のため気管内腔が閉塞するなどが要因となっている。肉芽付近の気切チューブの長さや太さを調整しているものの奏効を認めていない。