Apple-peel型先天性小腸閉鎖・腸回転異常症術後19年目の著明な低栄養を呈したイレウスの1例
和歌山県立医科大学 第2外科
上野昌樹,瀧藤克也,渡邊高士,山上裕機
【症例】19歳・女児.出生時に,Apple-peel型先天性小腸閉鎖・腸回転異常症にて,小腸吻合術を受けている.その後,先天性聾・精神発達遅滞にて,施設に入所し,この間の定期的な医療機関の受診はなかった.平成14年10月,嘔吐と発熱を主訴に当院小児科を受診.アルブミン値=1.5g/dlときわめて低く,蛋白漏出性胃腸症の診断で,栄養管理目的に入院した.しかし,脂肪乳剤併用の高カロリー輸液にても栄養状態は改善せず,嘔吐が頻回となり,イレウス状態となったため,イレウス管を留置した.造影検査にて,上部空腸の著明な拡張を認め,また,下部空腸への造影剤の流出も認めなかった.絶飲食にて減圧を行うとともに,中心静脈栄養を継続し栄養の改善を行うも,空腸起始部の拡張および低栄養は改善せず,1月16日,イレウス解除術を予定し手術に臨んだ.今回,イレウスの原因と手術のタイミングについて検討を要したので報告する.