巨大胸壁リンパ管腫切除後の難治性リンパ漏―その後―
大阪府立母子保健総合医療センター小児外科
奥山宏臣、窪田昭男、川原央好、大植孝治、田附裕子、田中夏美

症例は前胸壁から左上肢、縦隔、後腹膜、下肢にかけての巨大リンパ管腫の出生前診断例。在胎28週1日に前胸壁嚢胞内への出血からfetal distressに陥り緊急帝王切開にて娩出された。出生体重は2912g、Apgar score 4/6。出生時、左胸壁に出血を伴った重量約1500gの巨大なリンパ管腫を認め、摘出術を行った。残存するリンパ管腫に対しては硬化療法を行ったが、前胸壁のリンパ漏が持続した。生後3ヵ月のリンパ管シンチでは全身のリンパ管還流障害を認めたため外科的な治療は行わず、利尿剤、エレンタール投与等よる保存的治療を行った。生後10ヵ月頃よりリンパ漏が減少し、生後11ヵ月のリンパ管シンチでは傍大動脈リンパ管や胸管が描出されリンパ管還流障害の改善が示された。生後12ヵ月にはリンパ漏が治癒し、生後15ヵ月で退院となった。