21trisomyに合併した気管食道瘻の一例
北野病院小児科 水本洋、高原賢守、浅田純子、飯田みどり、上松あゆ美
羽田敦子、秦大資
同小児外科 松川泰廣
淀川キリスト教病院小児科 西原正人
 同小児外科 塩川智司
高槻病院小児外科 山本哲郎、畠山理

 在胎37週3316g出生男児、特徴的顔貌と染色体検査から21trisomyと診断された。多呼吸を主訴に大阪府新生児診療相互援助システム(NMCS)経由で当院NICU入院となった。多呼吸は自然に軽快した。日齢3から経口哺乳を開始し、直後に嘔吐を繰り返したため一旦ミルクを中止とした。日齢5に哺乳を再開したが、突然チアノーゼがあり、喉頭展開で大量のミルクが吸引された。その後は経管栄養としたが、軽度の腹部膨満が続いた。嘔吐と腹部膨満の鑑別のために超音波検査・消化菅造影・食道pHモニタリングなどを施行したがいずれも異常はなかった。一方で入院当初より吸気時に軽い喘鳴を認めたが、声帯までの上気道には異常を認めなかった。日齢40に淀川キリスト教病院にて気管ファイバー検査を施行し、食道内に注入した染色液の気管内への流入が観察された。日齢44に施行した食道造影検査では食道中部に気管食道瘻の存在が確認され、日齢54に当院小児外科にて瘻閉鎖術を行った。児は気管軟化症も合併しているため、術後も吸気時喘鳴が持続している。嘔吐を呈する疾患の鑑別、気管食道瘻診断にいたるまでのプロセスについて考察した。