両側難治性気胸を伴った両側多発性肺嚢胞例
兵庫県立こども病院外科:楯川幸弘、西島栄治、高見澤 滋、篠原 剛、荒井洋志、佐藤志以樹、連 利博、津川 力
症例:12歳、男児、主訴:持続する咳、現病歴:以前から咳をすることが多く、喘息と診断されていた。平成14年になってから運動時の呼吸困難が出現し、年末には起床時にも咳が出現した。平成15年4月5日に咳と呼吸困難が続くため近医を受診し、胸部写真にて両側に多発性の肺嚢胞と右側の気胸を認めた。気胸に対し、トロッカーの挿入、ピシバニール注入をうけたが再発を繰り返し、転院となった。5月27日に左側の気胸に対して開胸下肺嚢胞切除(多発嚢胞)、肺生検、癒着促進術を行い、同時に右気胸に対してVATS
(Video-assisted thoracoscopic surgery)にて肺嚢胞切除と癒着促進術を施行した。しかし、右肺気胸の再発が起こり、ミノマイシン50mgを2回胸腔内に注入した。以後、気胸の再発を認めていない。病理所見:嚢胞壁および肺実質には線維化と慢性炎症細胞の浸潤を認めた。進行する肺間質の線維化と肺嚢胞の関係、病名、治療方針を検討する。