乳児神経芽細胞腫stage 4sの1例:治療方針は?アシドーシスの原因は?あなたならどうする?

近畿大学医学部奈良病院 小児外科
大割 貢、米倉竹夫、保木昌徳、小角卓也

患児は腹満を指摘され生後51日目に当科受診。腹部CT検査にて左副腎に2cm大の腫瘍と腫瘍の瀰漫性浸潤による著明な肝腫大を認めた(NSEは15.6 ng/ml、HVA/Cre 、VMA/Cre は974 と1203 mg/g.creと後日判明)。下半身の浮腫が増強したため生後55日に開腹肝生検を行い上記確定した。同日にVCR 0.5 mg/m2を投与したが、肝腫大の進行により呼吸・循環不全が増悪したため、術後4日目にパッチ腹壁拡大術を行いCPM 100 mg/m2を追加した。同量でも出血性膀胱炎を合併、一方肝はさらに腫大し腎不全も進行したためCHDFを開始し、術後12日目に再度パッチ腹壁拡大術を施行した。術後急激な高カリウム血症とアシドーシスが出現、CHDFを再開するとともに交換輸血を行った。腫瘍は縮小しはじめたが、乳酸アシドーシスの進行はコントロールできず(403 mg/dl)、術後16日目に死亡した。剖検にて摘出肝は1.5kgであった。