高位型の所見を呈した直腸皮膚瘻の1例
近畿大学外科(小児外科部門)
野瀬恵介、八木 誠、野上隆司、吉田英樹、塩崎 均、大柳治正
症例は在胎39週5日、2684gにて出生した男児で、肛門がないため当院に搬送された。会陰部には比較的深い陥凹を認め、完全な低位型の所見であったが、生後1日目の倒立位撮影にて盲端ガスは高位型を示したため、横行結腸に人工肛門を造設した。生後4日目より会陰部の陥凹部より少量の胎便の排泄を認めたが、カニュレーションはできなかった。尿道造影にて尿道と直腸との間の交通は認めず、CTにて骨盤内に腫瘤性病変は認めなかった。高位型の直腸皮膚瘻と考え、生後4カ月時に腹腔鏡補助下腹会陰式直腸肛門形成術を施行した。まず腹腔鏡下に直腸を剥離したが、前壁は膀胱面に強く癒着し、瘻孔の部分は直腸に比し急激に細くなっていた。続いて会陰よりのアプローチにて瘻孔の切除および直腸のpull-throughを行った。瘻孔剥離時に尿道損傷をきたしたため、現在膀胱瘻にて管理中である。本症例の病型分類、手術方法について検討したい。