10)無脾症候群、内臓逆位、十二指腸前門脈を合併した巨大食道裂孔ヘルニア術後遺残するGERDに治療方法は?
近畿大学奈良病院 小児外科
米倉竹夫、小角卓也、大割 貢、佐々木隆士、保木昌徳

症例は無脾症候群、SASVの男児。胃・結腸の脱出を伴う食道裂孔ヘルニア、腸回転異常、十二指腸前門脈、右下大静脈を認め、日齢44日目(3029g)に食道裂孔ヘルニアに対し腹腔鏡手術を施行した。無脾で肝臓は上腹部両側にまたがり、食道裂孔は肝門部背側・椎体右側前方にある狭い腔の頭側深部に位置していた。肝十二指腸靭帯・門脈がその腔の肝下面正中を縦に走行していたため、鉗子操作はその両サイドからのアプローチとなった。右半結腸および内臓逆位となっていた胃・十二指腸・膵を整復した。食道裂孔は極めて大きく、また裂孔左側に右下大静脈が走行していた。食道裂孔を縫縮し、裂孔と胃壁を固定したが、視野の確保及び手術操作は極めて難渋し、microgastriaもあり、噴門形成術は施行できなかった。現在1歳4ヵ月(7.8kg)であるが、GERDが残存し経口摂取と経管栄養を併用している。GERDに対する治療方法は?