14)左腎から嚢胞内に尿が噴出する1例
大阪市立総合医療センター 小児外科
吉田達之、中平公士、中村哲郎、東 孝、大野耕一、森内隆喜
症例は1歳2ヶ月の女児。在胎19週に胎児超音波検査にて腹腔内嚢胞を指摘されていた。在胎37週に予定帝王切開にて出生。出生直後径10cmあった嚢胞は径5cmに縮小しており経過観察していた。CTでは左腎前面に上下に長く広がる嚢胞性病変を認め、これにより左腎は圧排され、腎盂・腎杯の拡張も認めた。排尿時膀胱尿道造影では膀胱尿管逆流症は認めなかった。MRIで嚢胞性病変内部に、造影後不整形の増強効果が認められた。これはこの嚢胞内に造影剤が排泄されているためと考えられた。さらに利尿レノグラム(99mTc-MAG3)にて嚢胞性病変にRIの排泄が認められ、さらに75分後像では集積が著明に認められ、尿路系と交通する嚢胞性病変と考えられた。その後嚢胞は増大し、手術を行った。術前診断では嚢胞性病変は拡張した重複尿管あるいは尿路と交通している腎嚢胞が疑われていた。