6)移動性精巣の診断と治療方針は?
大阪市立大学 小児外科
林 宏昭、諸冨嘉樹、春本 研

停留精巣は小児外科で日常的に遭遇する疾患であるが、精巣の位置は様々である.精巣を牽引しても陰嚢内に下降しないものは停留精巣と診断が容易であり、その治療方針も確立されている.しかし、移動性精巣の診断とその治療方針には悩む症例も少なくない.牽引が強く、常時陰嚢高位に位置するものはgliding testisとして精巣固定術の適応となるが、その診断基準は曖昧で移動性精巣との鑑別は難しい.われわれの施設では対側が停留精巣である場合、そけいヘルニア・陰嚢水腫を合併する場合はそれらの根治術時に同時に移動性精巣を固定している.また両側の移動性精巣は1歳を過ぎた段階で、片側の場合は3歳まで待っても遊走しているときは精巣固定するという方針で行なってきた.これらの症例の手術時所見と術後経過を検討し、今後の移動性精巣に対する診断基準と治療方針を再考した.