腹壁異常


臍帯ヘルニアと腹壁破裂が主な疾患です。
 
鑑別診断
腹壁破裂 :腸管の脱出。ヘルニア嚢を認めず。腸管のエコー輝度上昇。
巨大臍帯ヘルニア :肝の脱出と非破裂ヘルニア嚢を認める。
破裂巨大臍帯ヘルニア:肝の脱出と羊水に浮遊する腸管、破裂したヘルニア嚢を認める。
破裂巨大臍帯ヘルニア:肝の脱出と羊水に浮遊する腸管を認める。ヘルニア嚢を認めず。


臍帯ヘルニアの予後因子として肝の脱出の有無(巨大ヘルニアか否か)、合併奇形(心奇形、染色体異常)が知られていましたが、胎児診断ではこれ以外に、ヘルニア嚢の破裂の有無、脊椎変形、子宮内発育不全の有無が重要です。


巨大臍帯ヘルニアではより周到な周産期管理(早産の防止、帝王切開による分娩、出生直後よりの呼吸管理)が必要です。


巨大臍帯ヘルニアでは高度の肺低形成を伴い、治療適応のない例もあります。そのため20週以前に診断を確定する必要があります。


腹壁破裂は一般に予後良好です。しかし中には胎内死亡に至る症例や出生直後に重篤な呼吸循環不全を呈した例もあり、慎重な管理が望まれます。



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