新生児外科

新生児外科疾患

 新生児(生まれて1ヶ月以内の赤ちゃん)の外科で取り扱う病気には様々なものがあります。緊急性が高く、場合により放置すれば生命に関わる病気としては、呼吸困難症状で見つかるもの(先天性横隔膜ヘルニア、CCAM、肺分画症など)、嘔吐・腹部膨満などの消化器症状で見つかるもの(十二指腸・小腸閉鎖症、中腸軸捻転、胎便性腹膜炎、ヒルシュスプルング病など)、腹膜炎症状で見つかるもの(胃破裂、壊死性腸炎、腸穿孔など)、腫瘍・腫瘤・嚢胞性の病気(仙尾部奇形腫、リンパ管腫、卵巣嚢腫など)、外観から明らかな形態異常(臍帯ヘルニア、腹壁破裂、鎖肛など)などがあります。私たちの新生児外科症例の過去5年間を例にとると、これらの新生児外科疾患児の4人のうち3人までがお母さんのおなかの中にいる胎児の間にすでに診断されている、いわゆる"出生前診断"症例です。近年の新生児外科領域で胎児診断(出生前診断)が重要と考えられているゆえんです。
 一方、新生児の日常疾患のなかにも小児外科医によって診断や治療をされたほうがよいと思われる病気がいくつかあります。鼠径ヘルニア、臍ヘルニア、肥厚性幽門狭窄症、胃軸捻転、難治性臍炎、肛門周囲膿瘍などです。

 私たちの胎児診断外来がでは産婦人科の先生とともに、これから生まれてくる赤ちゃんを胎児期から経過観察しています。私たちの胎児診断外来の受診を希望される場合、現在見てもらっている産科の主治医の先生に一度ご相談下さい。
 生まれてすぐに発症する新生児外科疾患では、産科の先生や小児科(新生児科)の先生が病気を発見して私たちに紹介してくれます。私たちは必要があれば赤ちゃんがいつでも緊急入院・緊急手術できるように待機しています。
 お母さん方が鼠径ヘルニアや臍ヘルニアなど赤ちゃんの日常疾患に気づかれた場合は、直接私たちの外来を受診下さっても結構です。