11)『突然たくさん血の塊を吐いた』6歳男児の1例
症例は6歳男児。自宅で入浴後に『突然たくさん血の塊を吐いた』ため前医へ救急搬送された。左鼻出血を認め圧迫止血され、胸部Xpにて右下肺野の透過性低下があり、鼻出血による誤嚥性肺炎と診断された。しかしその後も血性〜コーヒー残渣様嘔吐を数回認め、Hb. 6.7mg/dlまで低下。胸部CTにて右肺下葉肺胞出血の疑いがあり、発症後5日に当院へ転院となった。転院後は喀血や吐血のエピソードを認めなかった。胸部造影CTでは血管異常は認めず、発症後7日に気管支鏡検査を施行した。右肺中間気管支幹が凝血塊で閉塞しており、凝血塊を除去すると血液が噴出したため、検査を中断した。ボスミン生食にて気管内洗浄を行い、気道内圧を上昇させて止血を得た。5ヵ月後に気管支鏡検査を施行、右肺中葉気管支に微細な隆起性病変を認めたが出血源とは考えにくく、その他異常所見は認めなかった。診断、対処について御意見をいただきたい。