60回小児外科わからん会プログラム


日時:2008年10月18日(土) 午後2時より
場 所: 
梅田センタービル16階     

        〒530-0015 大阪市北区中崎西2丁目412       06-6373-9981     

    
           会場アクセス: http://www.ucb.co.jp/access.html

           530-0001  大阪市北区梅田2丁目22号電話:06-6341-2238
       (当日、会場の電話は不通です。
連絡先:明治製菓 西村 090-8525-1838

当番世話人:和歌山県立医科大学 第2外科 瀧藤克也
参加費: 1000円
主題:なし

世話人のまとめ

今回も主題は設けず、幅広く「わからん症例」、「困っている症例」を募集し、発表して頂いた13演題のいずれも示唆に富む症例であった。

 演題T-1)腫瘤形成性虫垂炎の待機手術、とくに糞石を有する場合の待機手術の適応について議論が交わされた。腫瘤形成性虫垂炎に対する待機手術の有用性は認められているものの複数抗菌薬の長期投与、長期入院の問題もあり、現在では腹腔鏡下手術による緊急手術を優先している施設もあり、待機しなくても創感染を含め意外と合併症が少ないことが判明した。 演題T-2)度重なる膵仮性嚢胞の治療後に胃重複症が判明した12歳男児で、重複胃の内腔が突出した膵組織を介して膵管と交通していた。重複胃壁に存在する迷入膵に炎症を起こして膵仮性嚢胞を形成し、ドレナージにて一旦嚢胞が消失したにも拘わらず数回に亘り仮性嚢胞が再燃し、主膵管と交通するに至ったと推察された。 演題T-3)右腸骨動脈破綻による後腹膜血腫を形成した14歳男児で、原因として特異的顔貌、関節弛緩症から結合組織の先天性代謝異常であるEhlers-Danlos症候群typeWと診断された。 演題T-414歳女児の左腎頭側の脂肪成分を含み出血を示唆する腫瘍と、それに連続する背部皮下に達する不整形の腫瘤は、後腹膜奇形腫が穿破してその背側に炎症性の腫瘤を形成したものと推察された。 演題T-55歳男児の骨盤内の層構造を有する厚い壁と内部に不正形の塊状部分を含む腫瘍は病理所見から大網由来のnon-pancreatic pseudocystと診断された。鼠径ヘルニアの手術歴はあるが、大網の炎症性変化がヘルニアと明らかに関係のある所見は得られなかった。 演題T-6CTで左胸水と不整形の腫瘤性病変により急激に呼吸障害を発症した生後2ヵ月の男児、造影CTで腫瘤性病変は腸管で遅発性横隔膜ヘルニアと確診できた。 演題T-7)肝血管内皮腫にて経過観察中の11歳女児、両肺の結節影に対し確定診断をつけるために胸腔鏡下肺部分切除を行ったところ、病理組織学的に血栓による肺梗塞と判明、血栓の原因は下肢の深部静脈血栓症か?

演題U-1Apple-peel型小腸閉鎖術後に回腸末端で腸軸捻転が生じ広範小腸壊死を生じたが、腸間膜を縫合することによりこのような腸軸捻転が防げるか?わからん会参加施設では腸管の切除は最低限に務め、腸間膜を縫合閉鎖している施設は少なかった。また、広範小腸壊死後に横行結腸閉鎖を生じた原因は、小腸壊死の時に結腸にも壊死性腸炎の様な病態が生じた可能性が考えられるか? 演題U-2)出生後より著明な代謝性アシドーシスを呈した左腎上極の嚢胞構造を有する腫瘍に対し、腫瘍による末梢循環不全によりアシドーシスが改善されないと判断し、緊急腫瘍切除術を行った日齢1の男児例。腫瘍は組織学的に神経芽腫であったが、なぜ治療に抵抗する代謝性アシドーシスを来したか?治療方針を決定する上で重要な因子となる。 演題U-3)複数葉に跨ったCCAMの治療方針について、葉切除を避けるためには嚢胞の再発の可能性は十分あるが嚢胞切除も選択肢の1つとなるとの見解が示された。 演題U-4)特発性の右肺中間気管支幹からの気道出血を起こした6歳男児について、血管奇形などの原因検索のため気管支動脈造影を行うべきとの意見があった。 演題U-5)マイコプラズマ肺炎に起因する重度の縦隔気腫・皮下気腫から気胸に至った8歳女児について、重度の縦隔気腫・皮下気腫を生じた場合は気道確保の目的で自発呼吸を残し気管内挿管管理をすべきとの意見があった。 演題U-6Anterior sagittal anorectoplasty術後に重度の排便障害を生じた直腸膣前庭瘻の症例に対し、前回のわからん会で「直腸と腟後壁の剥離が不十分で形成した会陰体が術後早期に?開し、肛門が前方に偏位した」との結論から、PSARPで再手術を行い良好な結果が得られたことの報告があった。女児低位鎖肛に対する術式はASARPPSARP、あるいはPotts法?
 各演題とも発表した施設の疑問点に対し有意義な討論がなされた。明確な解答のでない症例もあったが、演題U-6のように本会は施設を越えた多くの先生に「わからん点」をご検討頂き、それを臨床の場に還元することで治療上の疑問点を解決することに対し十分役割を果たしていると思う。できるだけ多くの施設の先生にご参加頂き、小児外科わからん会が活発な症例検討の場としてますます発展することを期待する。伝統ある第60回小児外科わからん会をお世話させて頂き誠に有り難うございました。(和歌山県立医科大学第2外科 瀧藤克也)


プログラム

■セッション 1(14:00〜15:45)

   座長:  金廣 裕道(奈良県立医科大学 消化器・総合外科)

1)糞石のある腫瘤形成性虫垂炎に対して待機手術は可能か???

2) 膵仮性嚢胞術後に発症した胃重複症と思われる嚢胞性病変

3) 原因不明の後腹膜血腫の1

4)
背部腫脹で発見された後腹膜腫瘤の1

5) 頻尿および下腹部不快感にて発症した腹腔内腫瘤の1

6) 左胸腔内全体に広がる胸水と不整形な腫瘤性病変

7) 血管内皮腫のはずの1


*コーヒーブレイク (15:15〜15:40)


■セッション 2 (15:40 〜 16:55)

   座長: 瀧藤 克也(和歌山県立医科大学第2外科)

8) Apple-peel型小腸閉鎖術後に腸軸捻転を起こし短腸症候群に・・・

9) 新生児に認められた腹部腫瘤に対する緊急手術の適応判断は?

10) 複数葉に跨った先天性嚢胞性腺腫様肺奇形(CCAM)1例 治療方針は?

11) 『突然たくさん血の塊を吐いた』6歳男児の1例

12)
重度の縦隔気腫・皮下気腫を合併し8歳女児・・・原因は?


13) Anterior sagittal anorectoplasty術後に重度の排便障害を生じた直腸膣前庭瘻症例のその後



☆ 発表は5分以内、時間厳守でお願いします。
☆ わからん点を1枚のスライドに要領よくまとめてください。
☆ 最終抄録(施設名・演者名・空白を含め全角400字以内)を発表時にお渡し下さい。
   文字原稿、および電子媒体(CDR,USBメモリー等)でお願いします。


第39回小児外科わからん会より、プログラム・抄録・当番世話人まとめをHPに掲載することになりました。プログラムは決定し次第、抄録(施設名・演者名・空白を含め全角400以内)は発表時(もしくは後、なるべく早く)、当番世話人まとめは出来次第、事務局に、e-mailかフロッピーディスク(WinかMAC)でお寄せ下さい。


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