胆道閉鎖症が疑われた低出生体重児の1例

13)Anterior sagittal anorectoplasty術後に重度の排便障害を生じた直腸膣前庭瘻症例のその後

 症例は5歳女児。1896gで出生し、日齢2に食道閉鎖症根治術を施行。生後2ヵ月時(体重3.5kg)に直腸膣前庭瘻に対してanterior sagittal anorectoplastyを行った。術後重度の排便障害を生じ、浣腸と緩下剤を連日投与しても便失禁が続いていた。肛門は前方へ著しく偏位し、巨大結腸の併存も認めた。また、脳室周囲白質軟化症による軽度の精神発達遅滞と歩行障害を生じていた。
 前回のわからん会で本症例を呈示したところ、直腸と膣後壁との剥離が不十分であったため、形成した会陰体が術後早期に?開し、肛門が前方に偏位したのではないかと意見をいただいた。
 その後posterior sagittal anorectoplastyにより再手術を行った。術後、新肛門の腹側が半周にわたって?開したが、保存的に治癒した。浣腸により日中の便失禁は消失し、オムツが取れるようになった。