7)血管内皮腫のはずの1例
症例は11歳女児。既往歴、家族歴に特記すべきことなし。右下肢の肥大を主訴に近医受診、画像診断で肝内に境界明瞭で多発する結節影を認め当院紹介受診となった。当院での精査によりさらに両肺野に多数の小結節影を認めた。血液検査では特記すべきことなし。画像診断では血管内皮腫で肝と肺に播種しているとのことであった。確定診断をつけるために胸腔鏡下肺部分切除術を施行、左胸腔内を観察するに肺野全体に無数の白色の小結節を認めた。「血管腫やのに白いんですね」「血管内皮の細胞だけやから、白いんちゃうか」。左下葉の一部を切除し、患児は経過良好で術後3日目で軽快退院となった。この時点では「胸腔鏡下に診断した血管内皮腫の1例」となるはずであった。そして1週間後、帰ってきた病理診断報告書には、意外な結果が…。