
日本腸管リハビリテーション・小腸移植研究会は「小腸移植に関する研究の向上をはかり、その臨床応用の普及」を目的として全身の小腸移植研究会が設立され、順天堂大学小児外科の宮野武教授を当番世話人として1988年に第1回研究会が開催されました。2026年に5代目会長を上野豪久が拝命いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
1996年に本邦における小腸移植第1例目が実施されると、本研究会において全小腸移植症例が登録される仕組みが構築されました。2018年には本研究会が中心となって要望した小腸移植の保険適応が認められ、ようやく他臓器の移植手術と肩を並べることができました。このように本研究会は、本邦における小腸移植の推進・普及に大きな役割を担ってきました。
2000年代に入っての世界での大きな流れとしては、小腸移植の適応となる腸管不全に対しては、内科・外科的治療とともに、管理栄養士、看護師、薬剤師、MSWなどの多職種が連携したチーム医療である腸管リハビリテーションが標準治療となってきました。そして小腸移植は腸管リハビリテーションの一つの治療手段として位置付けられるようになりました。このような背景のもと、従来から国際的に小腸移植のリーダーシップを担ってきたIntestinal Transplant Association (ITA)は、2017年よりInternational Intestinal Rehabilitation & Transplant Association (IIRTA)という名称に変更されました。こうした海外での流れに呼応して、本研究会も2020年に日本腸管リハビリテーション・小腸移植研究会という名称に変更されました。
2026年からは肝不全を伴った腸管不全に海外で多く実施されている多臓器移植も本邦で実施できるようになり、欧米の移植状況に追いついてまいりました。引き続き当研究会は本邦の臓器移植関連学会の一員として、移植医療の向上にも努めてまいります。
2027年にはアジアで初めての開催のIIRTA学会である国際腸管リハビリテーション小腸移植学会(CIIRTA)も開催されることとなり、日本における国際的な役割も向上していくかと考えます。
本研究会は、腸管不全に対する包括的な診療体系の確立と、腸管リハビリテーションおよび小腸移植医療の発展を目的として活動しております。近年、在宅中心静脈栄養管理の進歩や多職種連携の進化により、腸管不全患者の生命予後と生活の質は大きく向上しております。一方で、重症例に対する最終的な治療選択肢としての小腸移植の役割は依然として重要であり、適切な適応判断、周術期管理、長期成績の改善に向けた取り組みが求められています。本研究会では、多様な専門職が一堂に会し、臨床経験と研究成果を共有することで、より安全で質の高い医療の提供を目指しております。さらに、患者・家族支援や地域連携の強化も重要な課題であり、医療者のみならず社会全体で支える体制の構築が必要です。関係者の皆様におかれましては、これまで以上に本研究会へのご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
大阪大学医学部附属病院移植医療部 部長
上野 豪久