腸管不全治療センターのとりくみ

腸管不全の患者さんの治療・療養を多職種で支援し、包括的で専門的な医療を提供する国内の拠点病院として腸管不全治療センターが設置されました。本センターでは腸管不全患者さんの外部からのコンサルテーションも受け入れ、腸管不全患者さんの腸管機能の回復と合併症の回避およびQOLの向上を目指し、多職種連携および地域連携による診療体制の強化を図ることを目標としています。また、腸管不全の最終的な治療である小腸移植の実施施設でもありますので、その適応評価や周術期管理も行なっています。こうした腸管不全治療に対する医師・医療スタッフの知識向上や人材育成にも取り組んでいます。

<対象となる消化器疾患>

◎短腸症

小腸の大量切除に伴い吸収ができない状態です。一般的に小腸の70-80%が切除す ると厳重な栄養管理が必要となります。原因としては小児では、壊死性腸炎、中腸軸捻転 、小腸閉鎖など先天性腸疾患や外傷が原因ですが、成人では炎症性腸疾患や虚血性腸炎な ども原因となります。下痢、体重減少、脱水、栄養障害などで、多くの患者さんが中心静 脈栄養に依存しています。

◎腸管運動機能不全

解剖学的な腸管の閉塞がないにもかかわらず、腹部膨満、嘔気・嘔吐、腹痛、腸管拡張などの腸閉塞様症状をきたす難治性疾患です。ヒルシュスプルング病のように、根治手術が可能な疾患もありますが、慢性特発性偽性腸閉塞症(Chronic Idiopathic Intestinal Pseudo-Obstruction(CIIP)、Megacystis Microcolon Intestinal Hypoperistalsis Syndrome(MMIHS)、Congenital Isolated Hypoganglionosis(腸管神経節細胞僅少症)、など今だに標準治療がない疾患もあります。下痢による脱水や腹部膨満によるイレウス・腹痛などで、食事摂取が不十分なため、中心静脈栄養に依存しています。患者さんごとに病態が異なりますので、個々の病態に応じた外科治療や腸管リハビリテーションが必要となります。

◎難治性下痢

解剖学的な腸管の形態は正常でも、腸管粘膜の機能的な異常により著しい水様下痢をしょうじるため栄養吸収ができない状態です。下痢、体重減少、脱水、栄養障害などで、多くの患者さんが長期間の中心静脈栄養に依存しています。

◎その他

消化管とは直接関係のない疾患により、経口摂取ができなかったり、排便管理が困難なため人工肛門を必要として、生活に支障をきたしている患者さんも、コンサルテーション可能です

スタッフ集合写真