2020年に、大阪大学医学部附属病院に腸管不全治療センターが開設されました。
腸管不全とは、短腸症やヒルシュスプルング病類縁疾患などにより腸管からの栄養や水分の吸収が障害された状態のことで、静脈からの定期的な栄養・水分補給を要します。多くは小児期からの先天疾患によるものですが、成人になってから腸管不全となる場合もあります。腸管不全の治療に当たっては、原疾患の急性期治療に始まり、腸管機能の最大限の回復を目指しながら、長期的な栄養・水分管理を要します。また、慢性期には静脈栄養を安定して行い、在宅医療への移行も行われ、最重症例では小腸移植の適応も考慮する必要があります。こうした一連の治療を継ぎ目なく提供するためには、医師だけでなく、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、理学療法士など多職種の緊密な連携が必要です。腸管不全治療センターは、腸管不全の患者さんがこうしたチーム治療を安心して受けていただけることを目標にしています。年齢、性別、原疾患や地域にかかわらず、腸管不全治療について広くご相談いただけましたら幸いです。
腸管不全治療センター長 上野 豪久
