研究紹介

 教室員は研究に対するモティベーションを高く持っています。これは大阪大学第1外科時代よりの先輩から受け継いだ学問に対する深い探求心と難病の赤ちゃん、子供達をなんとか救命したい、よりよいQOLを目指したいという強い動機によるものです。
当教室では、下記のテーマを中心とした基礎研究、臨床研究を行っております。もちろん、テーマにとらわれず共同研究や、セミナーなど、自由な研究を活発に行っております。

臨床研究

大阪大学小児外科では、以下の臨床研究を実施しています。

臨床研究―自施設

胆道閉鎖症における肝線維化と免疫反応の経時的変化に関する研究
胆道閉鎖症における肝線維化と関連する免疫反応の経時的変化に着目し,胆道閉鎖症の病態解明および新規の治療法を探究することを目的とします.

胆道閉鎖症における肝線維化と免疫反応の経時的変化に関する研究

胆道閉鎖症患者の成人期Quality of Life (QOL)についての研究
成人期を迎えられた胆道閉鎖症・自己肝の方について,肝移植後の方と比較し,QOLを検討することが目的です.

胆道閉鎖症患者の成人期Quality of Life (QOL)についての研究

嚢胞性肺疾患治療後の患者さんにおける長期実態調査
当科で治療を行った先天性嚢胞性肺疾患をもつ患者さんのこれまでの臨床経過、治療歴、検査結果、画像検査結果、手術病理結果をもう一度見直し、病態の解明を行いたいと考えております. 同時に、外来診療時に、採血・肺機能検査・運動発達評価を行い、長期的な観点から病気や手術が患者さんに及ぼす影響の評価を行います.

臨床研究―多施設共同

腸管不全の患者登録と予後因子に関する研究
腸管不全と診断された重症な患者さんにご協力いただき、腸管不全の原因や小腸移植の実施状況を調査することで、小腸移植の適応判断と不可逆的な腸管不全患者さんの治療技術の詳細を把握することです. さらには、腸管不全の予後因子を明らかにし、腸管不全の適切な治療法を特定し、小腸移植の技術の向上につなげることを目的としています.

腸管不全の患者登録と予後因子に関する研究

本邦小腸移植症例登録
国内での小腸移植の実態を把握し、今後の小腸移植の発展のために国内で実施された小腸移植のデータを登録して集計することを目的とします.

門脈体循環シャントに続発する肝肺症候群と肺高血圧症の発症因子と時期に関する研究
門脈体循環シャントを持つ患者の後ろ向きの症例を検討し、それぞれの疾患における肝肺症候群、肺高血圧症の発症率、発生時期を明らかにします. また、発症群、未発症群を比較して、発症にいたる因子を明らかにします.

門脈体循環シャントに続発する肝肺症候群と肺高血圧症の発症因子と時期に関する研究

脊髄髄膜瘤胎児手術の先進医療への展開
本研究は、脊髄髄膜瘤胎児手術(妊娠中に子宮内で胎児髄膜瘤を閉鎖する)を将来的な保険導入のための早期安全性試験・先進医療を実施し評価することを目的としています.

二分脊椎患者排便管理における医療提供に関する実態調査研究
本研究は、多施設共同研究として、全国の二分脊椎患者排便管理に対して医療者側が行っている治療・ケアに関する実態調査を行う事を目的としています.

先天性嚢胞性肺疾患の病態生理の解明と予後評価
本研究は、多施設共同研究として、先天性嚢胞性肺疾患の症例を病理学的診断に基づき分類し病態のスペクトラムを検討し、また病態ごとに臨床経過、画像所見、長期予後に関して検討することを目的としています.

X線動的解析システムを用いた小児呼吸器疾患の予後評価
本研究は、兵庫県立医科大学と共同でX線動態解析システムを用いて先天性小児呼吸器疾患に対する肺機能を評価する新しい手法を確立することを目的としています.

基礎研究

大阪大学小児外科では、以下のような基礎研究も実施しています。

脊髄髄膜瘤ウサギ胎仔モデルに対するマイクロデバイスを用いた胎児再生誘導治療の開発
本研究では、胎児脊髄髄膜瘤に対する次世代治療となるべく子宮内で低侵襲な方法で再生誘導治療を行うための基礎研究を行っています.

小腸移植後の急性、慢性拒絶に対する新規治療の研究
小腸移植後の急性、慢性拒絶に対する新規治療の探索を目的に、ラット小腸移植の拒絶モデルを作成し研究しています.

腸上皮細胞の成熟過程に関する研究
早産児や新生児に特有の壊死性腸炎などの消化管疾患は、腸管の未熟性を背景に発症するとされています. 本研究は、マウスの腸上皮細胞における遺伝子発現を調べることにより、その成熟過程について探索することを目的としています.

腸管における機能未知の蛋白質の探求
腸管上皮は栄養の吸収や腸管内微生物に対するバリア機能など様々な機能が指摘されています. 本研究は腸管上皮に発現がみられるものの、機能が分かっていない蛋白質の機能を解析することにより、腸管機能の解明することを目的としています.

小児固形腫瘍に対する分子標的薬の効果
悪性腫瘍に対する治療法の1つに分子標的治療があります. 分子標的治療は腫瘍抗原を発現している細胞のみを標的とするため、化学療法と比較して副作用が小さくなります. 悪性腫瘍の再発や転移に大きく関与している癌幹細胞の腫瘍抗原に着目し、小児固形腫瘍に対する薬剤の有効性を評価し、新たな治療薬の導入を目指します.

多施設共同研究での研究課題(海外)

研究の概要:米国テキサス大学 Kevin P. Lally, MDを主催者とする国際的な先天性横隔膜ヘルニア症例の多施設登録制度。全世界の100以上の先天性横隔膜ヘルニアの治療に携わる主要専門施設が症例の登録を行い、先天性横隔膜ヘルニアの臨床治療成績調査を行っています。

業績