直腸肛門・泌尿器

鎖肛・肛門機能

 鎖肛・肛門機能外来は、小児の排便に関する疾患を対象としています。
 主な疾患として、外観の日常的な異常として発見される痔瘻・肛門周囲膿瘍、裂肛、直腸脱、先天的な肛門形成の異常としての鎖肛、機能的な異常として認められる慢性便秘、ヒルシュスプルング病などがあります。



鎖肛

 鎖肛は、生まれつき肛門が閉鎖している状態ですが、肛門の位置がずれている、膣や尿路と交通する(瘻孔を有する)例も含まれます。尿に便が混じることでわかることがあります。直腸がどの高さまであるか、どの高さで瘻孔をつくっているか、肛門括約筋の発達はどうか、などが排便機能と密接に関わっています。専門の技術や経験豊富な施設での治療が必要です。治療に際しては、まず正確な病型の診断(直腸あるいは瘻孔の高さ、筋群の評価)を行った上で、適切な時期と方法を選び手術を行います。当教室では、中間位や高位鎖肛に対し、仙骨会陰切開による手術や腹腔鏡による肛門形成術を行っております。術後の排便の確立には、定期的な外来通院が必要です。



ヒルシュスプルング病・慢性便秘

 赤ちゃんの便秘の中に手術を必要とするヒルシュスプルング病という病気があります。便がでにくい(回数が少ない)、腹部が膨満している、噴出するような便の排出があるなどの症状が認められます。先天的に腸管機能をつかさどる神経の異常から上記のような症状を示します。放置すると腸閉塞状態で敗血症となり命にかかわる危険性もあり、専門施設での適切な治療が必要です。診断には、造影検査、直腸肛門内圧検査、粘膜生検などを行います。
 ヒルシュスプルング病は、当教室での成果が広く知られており、早くより排便機能温存を図った根治術式が行われました。近年当教室では、経肛門的に手術を行っており、手術痕は肛門内のみであるため分かりません。
 さらに難治性の消化管運動障害をきたすヒルシュスプルング病類縁疾患も当教室では多くの患者さんを診ております。



痔瘻・肛門周囲膿瘍

 外観の異常としての痔瘻・肛門周囲膿瘍等は成人でみられる疾患と同様ですが、子供特有の食生活(ミルク、離乳食など)、排便機能が確立していないことなどを加味して加療する必要があります。



停留精巣

 陰嚢内に精巣が触れない場合、手術が必要です。精巣は、生殖細胞が精子まで成熟するために、温度の低い陰嚢内にあることが必要です。不妊症や悪性化の問題もあります。 経過観察が可能な移動精巣の可能性もあるため、専門の施設での診察が必要です。


上記疾患に関わらず、治療抵抗性の便秘に、外科的治療によって改善する例があります。慢性の便秘や下痢などの排便でお困りの方はご相談ください。