第50回小児外科わからん会プログラム


日時:2003年10月4日(土)午後2時より
場所:薬業年金会館 4F
    大阪市中央区谷町6-5-4(TEL 06-6768-4451)
当番世話人:兵庫こども病院外科 西島栄治
主題:なし
 今回は小児外科わからん会の第50回の節目でもあり、15題の演題が集まり、参加してくださった先生方もいつもよりも多く、時間いっぱいを使って活発な質疑応答がなされた。15題の発表の施設別では、大学病院から8題、一般病院小児外科から5題、小児病院から2題で、疾患別では消化器疾患・腹部疾患が10題、脈管系2題、胸部疾患2題、腫瘍1題でした。
 4事例で討論が白熱した。和歌山県立医科大学小児外科チ−ムより、低出生体重に合併した胆道拡張症児で、胆道ドレナ−ジ中にもかかわらず、肝障害が進行して死亡した児が紹介された。感染、低栄養などいろいろな可能性が検討されたが、ビリルビン形成が障害される病態の原因は判明しなかった。近畿大学小児外科グル−プより、下大静脈欠損によるBudd-Chiari症候群の女児例が紹介された。経過中に肺高血圧(平均圧51mmHg)と大動脈縮窄症が判明し在宅酸素療法になった。血行動態と根治術の術式が検討されたが、会場でもため息がもれるほど複雑な病態であった。大阪府立母子保健総合医療センタ−から、巨大な胸壁リンパ管腫切除後の難治性リンパ漏の15ケ月児が紹介された。リンパ管シンチで追跡した結果、シンチによるリンパ還流の改善所見と臨床的なリンパ漏の程度が相応することが突き止められ、約1年の経過でリンパ還流がゆっくりと改善されたことが示された。近畿大学の小児外科グル−プから、StageIVSの神経芽細胞腫の乳児例で著明な肝腫大のため呼吸不全と循環不全をきたした例が紹介された。ビンクリスチン投与とパッチ腹壁拡大術を併用して肝腫大の悪影響をくいとめる手だてが講じられたが、交換輸血でも抗しきれない進行する乳酸アシド−シスのため死亡された。IVS例の巨大な肝腫大に対抗する手段(放射線照射、化学療法、腹壁拡大術など)を討論したものの、本例のような激しい経過をとる例に対処法の決め手をみつけるのは困難であった。
 発表と討論のあと、50回記念の情報交換会が大勢の参加者をえて催された。各小児外科チ−ムの代表が順次あいさつに立ち、終始なごやかに懇談され極めて有意義な交換会となった。
 参加された先生方、サポ−トしてくださった明治製菓薬品大阪支店の方々、ありがとうございました。



プログラム

セッション1(14:00-15:20)
           座長 佐藤志以樹(兵庫こども)

1)腹痛、タール便をきたし、原因不明の多発性空腸狭窄を認めた1例
近畿大学外科
吉田英樹、八木 誠、野瀬恵介、野上隆司、中村成宏、大柳治正

2)apple―peel型小腸閉鎖術後、繰り返す腹痛
大阪大学小児外科
奈良啓悟、鎌田振吉、米田光宏、黒田征加、福澤正洋

3)腸閉塞症の一例
兵庫医科大学第一外科
澤井利夫、飯干泰彦、藤元治朗

4)2歳11カ月の女児、開腹術の既往のないイレウス
大阪市立総合医療センター小児外科
宮本晋之介、春本 研、東 孝、中平 公士、中村 哲郎、森内 隆喜、
吉田 達之、高間 勇一

5)穿孔性虫垂炎術後に大網の腫瘤形成を認めた1例
姫路赤十字病院小児外科
久松千恵子、安福正男

6)直腸粘膜脱症候群と診断された直腸全周性ポリープの1例
高槻病院 小児外科、同病理部*  
津川二郎、大村典子、尾藤祐子、畠山理、山本哲郎、岩井泰博*

7)腹痛発作を繰り返す4歳女児:診断は?治療法は?
神戸大学医学部附属病院 小児外科、姫路赤十字病院 小児外科*
長谷川智巳、前田貢作、久松千恵子*、安福正男*、大北 裕

8)超低出生体重児に合併した先天性胆道拡張症の経過
―肝障害はなぜ進行したか―

和歌山県立医科大学第2外科
瀧藤克也,中村公紀,中谷佳弘,山上裕機

コーヒーブレイク(15:20-15:40)

セッション2(15:40-16:50)
           座長 前田貢作(神戸大学)
9)11才女児、右下腹部の有痛性腫瘤
淀川キリスト教病院小児外科
中岡達雄、塩川智司、辻本嘉助

10)脾臓に被膜形成不全を伴った新生児特発性乳糜腹水の1例
関西医科大学外科、同小児科*
渡辺健太郎、浜田吉則、徳原克治、棚野晃秀、高田晃平、上山泰男、
北村直行*、木下 洋*

11)どうすることもできないのか?下大静脈欠損によるBudd-Chiari症候群の1例
近畿大学奈良病院小児外科、同小児科* 
米倉竹夫、保木昌徳、小角卓也、大割 貢、三崎泰志*、吉林宗夫*

12)巨大胸壁リンパ管腫切除後の難治性リンパ漏―その後―
大阪府立母子保健総合医療センター小児外科
奥山宏臣、窪田昭男、川原央好、大植孝治、田附裕子、田中夏美

13)21trisomyに合併した気管食道瘻の一例
北野病院小児科 同小児外科*
水本洋、高原賢守、浅田純子、飯田みどり、上松あゆ美、羽田敦子、秦大資
    松川泰廣*
淀川キリスト教病院小児科、同小児外科*
西原正人、塩川智司*
高槻病院小児外科 
山本哲郎、畠山理

14)両側難治性気胸を伴った両側多発性肺嚢胞例
兵庫県立こども病院外科
楯川幸弘、西島栄治、高見澤 滋、篠原 剛、荒井洋志、佐藤志以樹、
連 利博、津川 力

15)乳児神経芽細胞腫stage 4sの1例:治療方針は?アシドーシスの原因は?あなたならどうする?
近畿大学医学部奈良病院 小児外科
大割 貢、米倉竹夫、保木昌徳、小角卓也

発表は5分以内時間厳守で御願いします。

☆なお、今回は第50回を記念しまして、会終了後に情報交換会を開催致します


第39回小児外科わからん会より、プログラム・抄録・当番世話人まとめをHPに掲載することになりました。プログラムは決定し次第、抄録(施設名・演者名・空白を含め全角400以内)は発表時(もしくは後、なるべく早く)、当番世話人まとめは出来次第、事務局に、e-mailかフロッピーディスク(WinかMAC)でお寄せ下さい。


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